意 見 書

1 統廃合が本当に最善策でしょうか。
2 都市中心部のまちづくり、学校づくりはどうあるべきなのでしょうか。
3 登下校時の危険性が増すのではないでしょうか。
4 学力低下の懸念が増すのではないでしょうか。
5 小規模校において生じるといわれる教育上の問題は対応できない問題なのでしょうか。

6 110余年の伝統と誇りを断ち切る以外に方法はないのでしょうか。
7 小規模校は関係者一人一人の力によって支えられています。
8 地元の理解と合意とは何を意味するのでしょうか

1 統廃合が本当に最善策でしょうか。

 この中間報告の前提とされている高松市校舎等改築検討懇談会ならびに高松市校舎等改築計画基本構想では、耐震性に懸念のある校舎の改築に際しては施設の複合化、校区の見直しといった内容が盛り込まれているにもかかわらず、今回の中間報告では困難であるとしてほとんど検討されていません。ホームページに公開されている審議会議事録にもそのような発言がなされている事実が記載されていますが、何故困難なのか、何故検討されなかったのか不明確です。たとえばもし仮に今回の中間報告通り日新、二番丁、四番丁の統合がなされたとすると、この新しい小学校へ通う子どもたちは中学校進学時点において二つの中学校に分けられることになりますが、このことひとつを取ってみても何故なのかよくわかりません。耐震性に懸念のある校舎の改築は避けられない以上、厳しい財政事情の中で経済合理性が教育的見地に優先した結果、統廃合という発想が出てきたのではないのでしょうか。またもし資金が潤沢にあったとしても統廃合を考えるのでしょうか。


2 都市中心部のまちづくり、学校づくりはどうあるべきなのでしょうか。

 平成113月に策定、平成1312月に変更された高松市中心市街地活性化基本計画では、「住みやすい都心居住の再整備」と「まちなか居住の促進」が推進目標としてあげられています。しかし学校を統廃合するということは、子供たちを持つ家庭にとって中心部に住みにくくなることを意味し、ひいては都市中心部の空洞化に拍車をかけることにもつながります。縦割り行政ということがよく言われますが、同じ高松市内部でこの問題についての協議はなされたのでしょうか。自然推計では中心部児童数は微減とされていますが、地価の下落、企業の有利子負債圧縮を目的とした資産(土地)売却に伴って、いわゆる都心回帰の現象は大都市から地方都市にまで広がりつつあり、ここ高松においてもその傾向は見て取れます。今や、徐々にではあっても都市中心部人口の社会的増加が期待できる社会経済情勢になっています。平成15年度を境として高松市全体の児童数は増加に転じ、情勢によっては中心部の児童数も増加する可能性もあります。現在、四番丁、二番丁、日新の3 校を統合すれば800名を超え、社会的増加を考慮に入れない今後数年間の予想生徒数も微減であり、もし市の「まちなか居住の促進」が推進され中心部の人口が増加した場合は、決して適正規模とはいえない状態にはならないでしょうか。

 学校は教育の場のみならず、地域住民の活動の場でもあります。高松市校舎等改築計画基本構想においても、学校・家庭・地域社会の連携、生涯学習やコミュニティ活動の場としての学校の役割が述べられていますが、もし統廃合ということになれば自治会活動などコミュニティ活動にも大きな影響が及ぶと思われます。学校のあり方を考えるに当たっては「教育の場としての学校」のあり方だけではなく「地域社会の中における学校」のあり方をも考える必要があるように思います。新しい学校づくりは何も統合だけではなく自由校区や施設の複合化といった要素をもっと検討した上で地域を巻き込んでのまちづくりの一環であるべきであり、まちを大切にしたいという気持ちが学校を守ろうとする気持ちにもつながっています。四番丁小学校は、ホタル鑑賞の夕べや菊池寛まつりなど他校にはない独自の行事を通して地域社会の方々とふれあう機会も多く、地域の情報発信基地となっています。四番丁校区が町をあげて反対する大きな理由の一つはここにありますが、これらの点についての検討はなされたのでしょうか。


3 登下校時の危険性が増すのではないでしょうか。

 
学校を統合するということは、通学距離が長くなることを意味します。横断歩道、歩道橋などを利用することを考えると、とても直線距離で考えられるものではなく、低学年の児童にとっては通学自体がかなりの負担になることが予想されます。さらに交通事故のみならず、近年の治安の悪化に伴う通学途上の事故のリスクも増大しますが、これは保護者にとっては極めて大きな心配事です。これらの点についての検討はなされたのでしょうか。


4 学力低下の懸念が増すのではないでしょうか。

最近の日本の経済的低迷の一因は、幼い頃からの基礎学力不足による国際競争力の弱体化に起因するという説を唱える学者もいます。国家百年の計は教育にありといわれます。学校完全
5日制の実施により全国的に子供たちの学力低下が懸念されていますが、絶対的な勉強時間が減少していく中で、学習効果を高めるためには学習密度を上げるしかないと思います。となると必然的に少人数教育ということになりますが、学校統合はその流れに逆行するものではないのでしょうか。(現実に四番丁小学校では少人数教育の成果が数値データとして裏付けられています。)40人学級を前提とした議論は、各地で学級崩壊の問題も報告されている現今においては、もはや将来を見据えたものではない時代遅れの議論のように思われます。

5 小規模校において生じるといわれる教育上の問題は対応できない問題なのでしょうか

 中間報告では小規模化した学校では教育上の様々な問題が生じているとされていますが、少なくとも現在四番丁小学校にかよう子供たちを持つ保護者の多くは、少人数であることによる不利益は感じていません。クラスマッチ等は他校との交流試合、連合運動会などで代用することもできます。また、一学年一クラスでは人間関係が固定化される恐れがあると書かれていますが、四番丁小学校の卒業生は社会性がないとか、大規模校の紫雲中学へ進学した子供たちが適応できないといった話はあまり聞いたことがありません。むしろ四番丁小学校は少人数ゆえに、子どもたちの間に障害児学級も含めた形での学年の枠を超えた交流ができあがっています。四番丁小学校にはここ何年来も障害児学級があり、小さい頃から障害児と共に過ごしています。この経験があれば、社会に出てからも障害者と自然に接する大人へと成長できると思います。中学校で障害児と一緒になった時、四番丁出身の子どもは(障害児に)手を貸す一線をわきまえていて、それが自然にできると褒めてもらったという話を聞いたことがあります。
 一昨年、市制施行111周年記念イベントとして当時の四番丁小学校5年1組が企画した-市民会館これまでこれからまつり-が市民会館において盛大に開催されました。その時友情出演として参加していた近隣の大規模小学校の子供たちの中からは、四番丁小学校の児童の一人一人が役割を持ち、いきいきと発表していたのをまのあたりにし、このような発表を自分たちの学校でもできないかという意見もでていました。またいじめがあってもクラス替えができないとありますが、いじめの問題はクラス替えなどで対処するのではなく、その発生を防ぐことの方が重要ではないのでしょうか。小規模校には小規模校にしかないよさがあり、統合によってそれらは失われてしまいます。障害児(障害者) あるいは高齢者とふれあえる小学校(複合施設)など、これからの新しい小学校を提案するという形での存続は計れないのでしょうか。そのことを今一度ご検討いただけないでしょうか。

6 110余年の伝統と誇りを断ち切る以外に方法はないのでしょうか。

 学校にはそれぞれ伝統というものがあります。四番丁小学校の校舎敷地は、かつて地元のご協力の元に確保されたものであり、戦災により廃校になりかかった時期がありましたが、この時も地元の方々のご努力によって維持されました。そしてまた110余年の歴史の中で、三木武吉、菊池寛など郷土の誇りともいえる偉大な先輩を輩出していますが、その伝統は今の子ども達に脈々と受け継がれています。たとえば毎年3月に大先輩である菊池寛をたたえる菊池寛まつりを行っています。


    このまつりで子供たちは、

1年生は、よつばの森のなかまたち(四番丁校区の自然とふれあう)
2年生は、ゆめのよつば町(四番丁校区の人々と歴史にふれあう)
3年生は、校庭で飼育しているホタルを通して自然の大切さをまなぶ
4年生は、三盆糖・保多織・後藤塗りを通して讃岐に伝わる伝統にふれる
5年生は、サンポート高松などを通してこれからの町づくりを考える
6年生は、菊池寛の作品の劇を演じることにより、郷土の文豪が残した文学に接するというテーマを持って一年間積み重ねてきた総合学習の成果を発表します。一度ご覧になっていただけないでしょうか。子供たちがどれだけ伝統を大切にすることを学び、地域とのふれあいについて考え、自分たちの町に誇りを持っているかが分かっていただけるかと思います。

    卒業生の多くは四番丁小学校に学んだことを誇りに思っており、地域社会の皆様方もこの学校に対し格別の思いを持たれていることは先日の説明会でおわかりなられたと思います。110余年の伝統と誇りをここで断ち切ってしまうことだけが、次代を担う子どもたちのために残された唯一の方法なのでしょうか。このこともまた今一度ご検討いただけないでしょうか。


7 小規模校は関係者一人一人の力によって支えられています。

 他の地域から四番丁は恵まれすぎているという批判がありますが、確かにそうかもしれません。しかしながら学校を支えるために育友会、自治会などに他の地域より負担がかかっていることも事実です。子供たちが少人数であることのメリットを享受できるのも育友会、自治会などの強力なバックアップがあってはじめて成り立っています。つまり縁の下ではそれなりの苦労をしているわけで、単純にメリットのみ享受しているわけではないということをご理解いただきたく思います。そしてまたその苦労ゆえに自分たちの学校を大切に思う心を一人一人が抱いているのではないでしょうか。

8 地元の理解と合意とは何を意味するのでしょうか。

 先日の説明会では、「今後地元の理解と合意を形成して次のステップに進む」との説明がありましたが、いつ何をもって合意が形成されたとみなすのでしょうか。また明らかに合意が形成されていないと思われる状況の中で、次のステップに進むということはないのでしょうか。逆にそのような状況が続く場合には、計画の凍結あるいは白紙撤回ということもあり得るのでしょうか。